美醜に囚われて泣いた金曜日
数年前の私は精神病で、薬をザラザラ飲んでいたんだけど、そのときに大好きな美容師さんがいた。彼女を「マイカさん」と呼んで、髪をいじってもらうことが楽しみだった。
今日、2年ぶりにマイカさんの美容室にいった。8トーンのベージュに染めるといったのに、シャンプー上がりの黒髪だった。「色が入り過ぎちゃった。染め直しますか?」とマイカさんは言った。
私にとって美醜はとても大きなことで、どんな私も愛したいと念じながらも、美しくありたいと思ってしまう。一度は「これでいいです」と言ったけど、あぁ世界がグルグル回って倒れそうになったから、「やっぱり染め直してもらっていいですか?」とお願いした。
精神的に? 肉体的に? 体が苦しくてたまらなかった。ふとしたら涙が出るし、鼻水もすすった。髪の毛は私の宝物で、髪の毛が醜くなれば、もはや生きる意味がないような気さえした。
1時間の染め直しで、少しはマシになったかもしれない。無理な笑顔で店を出て、副都心線のトイレで、泣いて泣いて泣いた。何だろう? 美しい髪が失われたような気がして。気になる彼に、可愛い私を見せたいという切迫。疲労。マイカさんの美容室を訪れた、自分の選択を責めていた。せっかく伸ばしている髪の毛の毛先を、切らせた自分も許せなかった。「うぅ〜ううぅ〜」と声を上げて泣いて、副都心線の中でもハンカチで顔を隠して泣き続けた。親を失った人でも、あんなに狂わないかもしれない。
この文章には、なんの結論もない。ただ、どんな自分でも愛せる、髪の毛の少しの変化に左右されない、優しい自己愛と健やかな心がほしいと思う。
変な爪でしょう?